1968年12月10日、日本の歴史に刻まれる「3億円事件」が発生した。白バイ警官に扮した犯人が、わずか3分で現金輸送者から3億円を奪取した。この事件は、124点もの証拠や17万人以上の捜査員を動員したにもかかわらず、未だに犯人の特定に至っていない。何故、警察はこの完全犯罪を解決できなかったのか?
事件の背景には、当時の日本の高度経済成長と激化する学生運動があった。狙われた3億円は、東芝府中工場の従業員の冬のボーナスであり、現金での支給が一般的だったため、巨額の現金が狙われた。犯人は、巧妙な手口で警察の目を欺き、逃走に成功した。
捜査の初動には多くの問題があった。最初の通報が不明瞭であったため、警察は迅速な対応を欠いた。また、犯人が使用した偽の白バイや装備品の調査が進む中、重要な証拠が捜査員によって台無しにされる事態も発生した。さらに、警察内部の派閥争いや情報漏洩が、捜査をさらに混乱させたとされる。
少年Sという容疑者が浮上するも、彼の突然の死によって捜査は行き詰まる。彼の父親が警察官であったことも、事件の背後に隠された闇を示唆している。警察関係者の関与や組織内の圧力が、真相を闇に葬った可能性が高い。
この事件は、単なる強盗事件を超えた複雑な背景を持ち、未解決のまま時効を迎えた。現在も新たな犯人説が浮上する中、真相は依然として謎に包まれている。3億円事件は、警察の捜査能力や報道倫理に対する警鐘となり、今後も人々の記憶に残り続けるだろう。