1991年10月1日、横浜市で発生した野村香ちゃんの行方不明事件が、30年以上経った今も解決を見ていない。小学3年生の香ちゃんは、自宅から540メートル離れた初動教室に向かう途中で忽然と姿を消した。事件当日は大雨が降り、目撃情報はほとんど存在しない。警察は当初、事故と失踪の両面から捜査を進めたが、すぐに事件性が高いと判断。捜査は神奈川県警との合同本部が設置され、大規模なものとなった。
香ちゃんの失踪から数日後、警察は周辺住民への聞き込みを強化し、延べ9万756人の捜査員が投入されたが、有力な手がかりは見つからなかった。雨による証拠の消失や目撃情報の欠如が、捜査をさらに困難にしている。周辺地域では子供を狙った不審者の目撃情報もあったが、香ちゃんの失踪には直接的な関連性は確認されていない。
捜査は現在も続いており、特別捜査本部が設置されている。犯人像としては、当時25歳から35歳の男性が最も有力とされており、地元に詳しく、香ちゃんの行動パターンを把握していた可能性が高い。計画的な誘拐の可能性が指摘されており、犯人は証拠を残さないよう細心の注意を払ったと考えられている。
この事件は単なる未解決事件ではなく、野村家族にとっては30年以上続く苦悩の象徴であり、香ちゃんの帰りを信じ続ける両親の姿は、多くの人々の心に深く刻まれている。事件の真相は未だ闇の中にあり、香ちゃんがどこにいるのか、誰が彼女を連れ去ったのか、真実を求める声が今も響き続けている。